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見晴らしの良い丘の上、柔らかな風が吹き、女の髪を撫でてゆく。
一輪の花を手に持ったその女は小さな祠の前に跪き、その花を前へと置いた。
「ねぇ…、見ててくれてた?」
物言わぬ祠へと女は声をかける。
「ありがとう。きっと、ここまで来れたのは……、あなたのおかげ。」
女はそう微笑むと立ち上がり、空を見上げた。
風に散らばる青の髪を抑え、遠い空の向こうをみる。
そして、そこにいる誰かが見えているかのように笑いかけると、女は身を翻し、その場を去っていった。
もう何年も昔の話、青の髪を持つ少女がたどり着いたこの世界。それは、生まれた世界とは刻の流れさえ違う世界。
そして、その中で生きることを選んだ彼女。
異界に降り立った少女はひとり思う。この世界は辛く苦しく、そして美しい。
水底の華のようだ、と。
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