星空の約束

 いつか共に星の海を泳ごう。


 かつてあなたはそう私に言った。

 私はその言葉が嬉しくて、何度も何度も頷いたのをよく覚えてる。

 でも、空を飛ぶのはあまりにも難しくて、不出来な私はそれを成すのにとても時間がかかってしまった。


「――ねぇ、あなた。やっと約束が果たせたわね」


 私は夜空をたゆたいながら、そこにいるはずのあなたに話しかける。


「時間がかかりすぎだ、って? ……そうよね、本当にそう……」


 だって、どの光があなたなのか、私にはわからないんだもの。


 人は役目を終えると星になる。

 けれど、本当にそうなのかしら、と思った。


「ねぇ、とてもキレイね。星が、増えてゆくみたい」


 頬を流れて散らばってゆく涙が、煌めき、星になる。


 きっと人が星になるのではないの。

 別れた人を思う涙が、この星空を作るのよ。

お題「自由自在」

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