清き炎はその御手に

 周囲には、炎が波のようにうねっている。

 火花はチラチラと煌めき、踊るように舞う。


 わたしはその炎を纏いながら手を伸ばす。


 何処へ?

 空――。いいえ、畏れ慄く貴方の方へ。


 あんなにも熱く、苦しかった彼らは今やわたしの味方だった。

 正と負とが逆転したようだと思う。

 わたしが信頼していた貴方は裏切り、わたしを苦しめたものはこの手の中。


 さぁ、はじめようか。


 わたしはうっそりと唇を持ち上げる。


 今ならばきっと、あの空をも踏みしめられるだろう。

お題「火」

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