嵐の後の晴れ間にて
水面越しに、陽光がきらきらと輝いていた。
「――……、」
こぽりと音がして、透明な泡がゆらゆらと上がっていく。
手を伸ばした。
だが、その指先は何に届くこともない。
みんなは、にげられたかしら……。
目を閉じれば、まだ暗い嵐の中にいるような気がした。
何も聞こえない。
ただ見えるのは、澄んだ青と光。
だがそれも、次第に遠くなっていく。
沈んでいく。澄んだ青は次第に黒へと変わっていく。
けれど、苦しくはない。
きっと次の瞬間には、泡になってあの空へ手を伸ばすから。
お題「瑞々しい」
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